函館ストーカー殺人事件
事件概要

2007年11月26日午前7時頃、北海道函館市の無量林博昭さん方の前で、車で家を出ようとしていた長女の会社員 無量林智子さん(当時23歳)が、家の前にいた男に首や胸などを刃物で刺される事件が起きた。
智子さんの叫び声を聞いた近隣住民が、家の前に行くと男が乗ってきた車で逃走するところで、智子さんは首から血を流し倒れていた。
すぐに110番通報し、北海道警函館中央署員が駆け付け、智子さんは病院に搬送されたが間も無く死亡が確認された。
男を止めに入った智子さんの母親の広子さん(当時57歳)も男に怪我を負わされている。
函館中央署は、事件の約20分後に「人を刺した。」と自ら通報してきた北海道函館市の無職 中原哲也(当時22歳)を殺人の容疑で逮捕した。
中原は智子さんの大学時代の同級生で、智子さんに対し付きまといなどのストーカー行為を行っていた。

犯人の無職 中原哲也(当時22歳)

 

函館中央署によると、智子さんは職場へ出勤するために広子さんが運転する車で自宅を出ようとするところだった。
しかし自宅前に車が停まっていた為、広子さんが移動するよう促すと、車の中から中原が降りて来て、助手席に乗る智子さんを車から引きずり出し、首や胸を数回ナイフのようなもので刺し逃走すた。
北海道警が車で逃走した中原を捜索していると、事件より約20分後「人を刺した。函館西署の前にいる。」と中原から110番通報があった。
通報を聞き捜査員が函館西署の前にいた中原を確保し、中原も智子さんを刺した事を認めたため逮捕した。

背景

智子さんと中原は、北海道教育大学函館校の教育学部の元同級生であった。
教育実習先が同じ学校で知り合ったが、親しい間柄ではなかった。
中原は、約1年前から智子さんの自宅住所を調べ、自宅前で待ち伏せするなどのストーカー行為を繰り返していた。
11月15日には所用で大学を訪れた智子さんは職員に、「中原が2〜3日前に相談に乗って貰いたいと職場まで来たが、その相談内容は職場まで来て話す内容ではなかった。」
「職場には来ないでと伝えたが、身の危険を感じている。」と話していた。
相談を受けた副学長は「次に付きまとわれたら警察に相談しよう。」と答えていた。
そして事件当日、中原はレンタカーを使い刃物を持参して智子さんの自宅前で早朝から待ち伏せを行う。
そして職場へ出勤しようと、母 広子さんの運転する車の助手席に乗る。
しかし自宅前には、中原の車があり発車出来ない状態で、広子さんは車を降りどかすように言いに行く。
そして中原は助手席にいる智子さんを、車内から引き摺り出しナイフで刺した。
智子さんはなんとか逃げようとするが、数回ナイフで刺されて殺害される。
中原を止めに入った広子さんにも怪我を負わす。

犯行が行われた北海道函館市内の無量林さん宅前

 

そして乗って来たレンタカーで逃走し、事件現場から南西に約5km離れた函館市内のスーパーの駐車場でレンタカーは見つかった。
中には犯行に使われた凶器のナイフがあった。
中原は事件から約20分後に自ら110番通報し、函館中央署員に逮捕され罪を認める。
中原は岡山県内の高校出身ので、北海道教育大学函館校を9月に卒業している。
函館中央署には、智子さんからストーカー行為に対しての相談はなかった。

 

 

 

▪裁判
2010年4月15日、札幌高裁で開かれた控訴審で懲役15年とした1審の判決を支持し、検察・弁護側双方の控訴を棄却した。
公判では中原の刑事責任能力が争点で、裁判長は統合失調症による妄想が影響した可能性がある一方で、犯行に計画性があると認定し「是非善悪の判断に従って行動する能力は失っていないが、著しく低下している可能性がある。」と指摘する。
心神耗弱の状態だったと判断した。